2019年4月27日土曜日

5月8日HKTmix@中目黒 FJ's

5月8日には久々に自分主催のライブをします。いつぶりだろうか。
ここのとこ色々あって色んな楽しい仕事をさせてもらってはいるのですが、
こういう時こそ自分のアレをアレしておく事が大事なのでは、
などと思った今日この頃です。

Hitomi,Kota,TakumaでHKT mix

ビブラフォンのHitomiHさんは僕とハーモニー感が合いすぎて、
かなり雑な譜面で複雑なボイシングをしてもばっちりサウンドさせてくれるので
(こういうのをきっと「合わせてくれてる」と言うのだろうが)、
今後ともどうぞよろしくお願いしたいところである。

タッキーこと朝田拓馬君はギターに加え、歌やボイパやその他色々できてしまう
変なやつでこの3人でかなり色々なフォーメーションが組めるので楽しみである。


会場は故・深町純さんのお店、FJ'sです。
お時間ある方は是非。

2019年4月11日木曜日

「竜馬におまかせ!」再評価

最も好きなドラマに「竜馬におまかせ!」がある。

1996年の作品だがすごく面白かったし久しぶりにまた見たいなあ、三谷幸喜作品だし、DVD化くらいされているだろう、と思いwikipediaに当たってみたところ、

これが意外や意外、なかなか低評価、というか今でいう炎上作品であった事を知った。

"歴史事実を無視した奇抜な内容から、放映当初より日本テレビはもとより三谷本人にも龍馬ファン、時代劇ファンを中心に抗議が殺到した。特に大の龍馬ファンで知られる武田鉄矢は「維新回天の英霊を愚弄する低俗な内容、本人の墓の前で土下座して謝罪するべき」と三谷本人に内容証明での抗議文を送った(要出典))"

とあり、なるほどわからぬでもない、むしろさもありなん、と思った次第であるが、視聴率が奮わなかったという点だけは本当に意外であった。

僕も司馬遼太郎の「竜馬が行く」の大ファンで、氏の他の幕末ものや、その他の竜馬関連の作品も楽しく見聞している事を前置きした上で、この作品の素晴らしさを述べてみたいと思う。

ちなみにYouTubeに上がっていたので見ながら書いている次第である。

まずキャスティングが白眉である。

・坂本龍馬:浜田雅功(ダウンタウン)
浜田本人のキャラクターが強すぎはするが、上江戸(?)したてで江戸に出てはみたものの特に何をどうしたらよいか定まっていない頃の竜馬の感じや、周囲の攘夷熱にかぶれつつも少し別の視点から周りを見ており、ちゃらんぽらんな素振りで攘夷派に踊らされる友人の心を開き説得する様は、司馬遼太郎の竜馬像と全く矛盾しない。同郷の以蔵への思いやりを示すシーンは特に素晴らしい。もまた、遊郭にも出入りしたりと実際それなりに若者らしくちゃらんぽらんしていた節もある。その辺りはつかこうへいの「龍馬伝」のような雰囲気も感じさせる。とにかく、実際の坂本竜馬像と実はそれほど乖離していないのでは、と捉える事もでき、キャスティング、キャラクター設定として面白く成立している。また、浜田の岩のような横顔も竜馬の写真と意外と似ていなくもないように思える。


・近藤長次郎:北原雅樹(グレートチキンパワーズ)
兄貴分についてきただけの性格のいいヤンキー感が秀逸。

・岡田以蔵:反町隆史
純朴で馬鹿で、武市半平太や清川八郎にいいように操られている足軽青年、岡田以蔵のキャラクターを、他作品と比べても最もよく現しているキャスティング&演技だと思う。竜馬を慕いつつも武市や人斬りの暗さから結局抜け出せなかった史実の悲哀さも感じる事ができる、清川八郎と並び今作品のベストキャスト。

・千葉貞吉:伊東四朗
偉大な兄千葉周作の弟として飄々と生活している感じが秀逸。

・千葉重太郎:別所哲也
「育ちのよさから来る、流されやすくも性格のいい青年」という千葉重太郎像を別所がよく現している。

・千葉さな:緒川たまき
風貌は文献とは異なると思うが、勝気で男勝りな千葉さな像を、愛らしさと共にテレビドラマによくフィットして現している。腸閉塞を患った鈴木杏樹のトラだったらしいが、鈴木では女子感が出過ぎたかも知れない。

・清河八郎:西村雅彦
北辰一刀流の免許皆伝者であり学もある文武の人でありながら、結果的にどうにも胡散臭く、初代新撰組(それも清川が二枚舌で作った)組長のゴロツキ、芹沢鴨と個人的にお似合いだと感じる清川八郎(最終的にロクな死に方をしなかった)。剣豪感はないものの(実物は体格がよく色白で声がよかったらしい)、今でいう自己啓発セミナーを開いたりして田舎者を焚きつける胡散臭い人物像に西村雅彦がベストマッチ。反町隆史の岡田以蔵と素晴らしいコントラストを描いている。

・勝海舟:内藤剛志
出世欲はないが幕府のお偉いさんであり、リベラルで学もあるがいわゆる学者肌でもない、という、役作りに悩みそうな(実際 他作品でキャスティングに首を捻る事が多い)勝海舟像をうまく演じているように思う。野田秀樹と並んでの勝海舟の好キャスティングの一つだと思う。

・近藤勇:阿南健治
不器用で騙されやすいがそれ故か人望が厚い、後の新撰組組長をよく現している。

・沖田総司:梶原善
ギャグ混じりのキャスティングではあるが、病弱で気のよさそうな青年という意味では意外にマッチしている。梶原善のクオリテイは若い時から常に高い。

・黒駒の勝蔵:相島一之
実際には交遊はなかったのでほぼ架空の人物ながら、竜馬手飼いの元盗賊、寝待ノ藤兵衛(こちらも架空らしい)を彷彿とさせる。藤兵衛役として(時系列として成立しないだろうが)捉えると素晴らしいキャスティング&演技。また一緒にライブしたい。

夢路(架空):とよた真帆
完全に架空の人物なのでノーコメント。セクシー。

高杉晋作:寺脇康文
風貌的にはもう少しつり目の体の細いヤンキー感のあるキャストがよかったが、高圧的でエラそーで自信に満ちている感じはよく体現されていた。

吉田松陰:小林隆
実物の風貌的イメージがあまりないが、あの激烈な弟子達を産み出すのは案外こういう感じの人なのでは、と感じさせる。また一緒に仕事したい。

という具合で、歴代竜馬作品の中でも圧倒的にキャスティングが優れている(個人の感想だが)。

浜田雅功の竜馬は不評なのだろうが、福山雅治や武田鉄矢よりはずっと実像に近い気がする。


次に、舞台設定(時代設定)が優れている。いわゆる「幕末」の前日譚という設定だが、実際この幕末のスター達は京に上る前、名もなき若者として江戸にいたのである。

その彼らの、ちょっとあったかも知れない日々や、あってもよかった世界線(@シュタインズゲート)を、このドラマは楽しく美しく描いている。その視点は、キャストが現代の格好でゲームセンターやバスケに興じるオープニングの映像からも感じ取る事ができる。2019年現在であれば容易に理解され、受け入れられただろうと思うと少し惜しいが、それだけ三谷幸喜の視点は進んでいた証左とも言えるだろう。

もう十分書いたが、総じてこのドラマの優れているところは「リアリティ」だと思う。

史実としてのリアルではなく、裸婦像に興奮したり、シークレットブーツを履いて仲間とはしゃいだり、革命だなんだと騒いでいても具体的にそれが何を指すのかはみんなよくわかっていない、といった、若者の生活としてのリアルである。

フィクション、脚色を通じてリアリティを引き出す、というのは創作、ひいては芸術の正しいあり方である。

デジタルリマスターきぼんぬ。

*4.12追記
改めて最後まで見たけど、後半のバンドのくだりで大分ダレてましたね。
台本追いついてなかったんだろうなぁ。