2019年10月12日土曜日

「君の輝く夜に」東京公演終了

といってももう何週間も経ってしまったのだけれども。。

8月30日から日本青年館ホールにて幕を明けた稲垣吾郎さん主演のミュージカル

「FREETIME,SHOWTIME〜君の輝く夜に〜」の東京公演が9月23日に無事千穐楽を迎えました。めでたしめでたし。

昨年夏に京都で初演を迎え、今回は再演だったのでつつがなく、、というと全くそんな事はなく(爆)、

音楽監督(父)は他界しているわ、幕間のショータイムは9割方新作になるわで、なかなかてんやわんやではあったのですが、

スタッフ、バンド、キャストの皆さんの高いスキルと愛情で応えてくれ、乗り切る事ができました。心から感謝と尊敬の念を。

そして吾郎さんがそれとなぁく僕を気遣ってくれている感じが終始あって、

お兄さんがいたらこんな感じなのかなあ、などと想像していました。

もちろん現実の兄弟関係というのは聞く限りかなり過酷なものなのであくまで漫画的想像ですが(笑)。

いつまでもこんな漫画みたいな日々を生きていきたいものです。












surface's got wings

ちょっと前に「実はsurfaceが好き」という投稿をしてから数週間で、

microsoftがそのsurfaceのアイディアを爆発させた。

Surface Pro XやSurface Laptop 3など「Surface Event」で発表されたMicrosoftの新製品まとめ

やはり私のガジェットに対する目は確かだったと確信した限りである。

従来のsurfaceシリーズの完成度はいよいよ成熟し、「Duo」、「Neo」、「Pro X」という

新しいラインナップも大きなワクワクをくれた。

実は「Duo」も「Neo」も全く見たこともない製品かというとそんな事もないのだが、

それなのに強く鮮烈に感じるのはそう、かつてのAppleのようではないか。

iPadx Macの現体制からの乗り換えは仕事柄今の所難しいが、

携帯はノーiPhoneなので、Duoは是非とも手にしてみたいものである。


2019年7月30日火曜日

SONY SP500、SP700nレビュー

またbluetooth イヤホンを買ってしまった。かれこれ10機種以上は買っている。

その中で最近買ったタイトルの二機種を取り上げてみよう。

まず、bluetoothイヤホンのほとんどは密閉型である(シリコンゴムのイヤーピースを突っ込むやつ)。

これが歩行中はどうにもゴウゴウとうるさくて堪らないので、オープン型(昔のシャカシャカ音漏れで迷惑がられたやつの仲間。もう音漏れはそれほどしない)のものを探してみたのだが、AppleのAirPods以外、まあないこと。

特にAAC又はaptX(音質がよい)に対応しているものは全くといってよいほどない。

開放型は遮音性は低いものの、周囲の音は聞こえて歩行中でも安心だし(自動車の音など)、なんなら会話も返事くらいはできる。配達のピンポンだって聞こえるし、付け疲れも密閉型に比べ少ない。それなりに需要があってもよさそうなものだが、ない。

ほぼ唯一見つかったのがSP500である。


SP500-1
SP500-2
レビューも少なく、外れやすいという意見も半分くらいあったものの、AACプロファイルに対応しており、このややビミョーなデザインも割と気に入ったのに加え、完全ワイヤレスでない分値段もAirPodsに比べれば随分安い(7000円台だったと思う)。 

というわけで買ってみたが、半年程使っているがかなり気に入っている。 

上記のオープン型の利点を満たしつつ、音質もなかなかよいし、遅延も少ない。バッテリーの保ちもよい。

ちなみに通話は重視していないが、相手から聞こえにくいとほぼ確実に言われる。

星4つ(買う価値あり)

ちなみにAirPodsでよいのでは?という問いへの回答はアンドロイダーとして拒否する。


お次はSP700である。これはSP500を紛失したと勘違いして買った。

SP700n。そら豆のようなデザインがよい(佐山は白を所有)

完全ワイヤレス&ノイズキャンセリング機能&外音取り込み機能付きである。全部盛りですな。

にもかかわらずこちらはマイナス点の方が多い。

・遅延が致命的。映画はまず見れない。
・ノイズキャンセリングが弱い。
・イコライザー(アプリ操作)があるのに用意された数種類の設定しか選べない。
・バッテリー保ちが悪い(映画一本分でギリ)。充電ケースの方も貧弱。

とはいえ、これらはいずれも改善の余地があるものばかりである。

良い点としては
・片耳でも使える。これはなかなか重宝する。
・出し入れがしやすく、充電開始のLEDも見やすい。総じてデザインは優秀。

基本的な音質は悪くはない(イコライザーが任意の設定にできれば解決すると思われる。アップデートでも可能だろう)。

片耳だと遅延はやや改善される(完全ワイヤレスの弱点と言われているらしい)が、片耳モードでも動画にはキツい。これはちょっと問題外。だがアプデでは難しくても将来的には改善可能だろう。

というか、後発のSP900では既に改善されたと謳われている。だが、今度は4GBメモリでヲークマンとして使えて防水仕様に、その代わりノイズキャンセリング機能はなくした、という「?」な仕様変更になってしまった。値段も高い。

この辺は21世紀ソニーの本当に謎なところである。企画部の上層部には強烈な文系馬鹿がいるとしか思えない。

というわけでSP700は星2.5(お勧めはしない)。ただしコンセプトは良いので後継機に期待。

ソニーは近年 電子ペーパーなど色々な方面で秀逸な製品を再び作れてきているので、シャープのような企業改革が行われれば(それには買収される以外になさそうだが)、再びの栄光も夢ではないのではないだろうか。

















2019年7月13日土曜日

実はSurfaceが好き

何を隠そう僕はマイクロソフト社製の2in1 PC、Surface proシリーズの大ファンである。

どれくらいファンかというと2012年にSurface Pro2を発売日に買った(第一世代で手を出さなかったところがミソ)くらいである。

まあ、結局それ以来買っていないのだが、特にpro3以降のハード面での完成度はMacよりもずっと高く評価している。

結局 楽譜を書く・編集する作業と、見る(弾く)作業を一つのディスプレーでこなす事に困難を覚えiPadとMac体制になってしまったが、それもSurfaceBookが両者を足した値段より高額だった事は大きい。

とはいえ未だに好きと完成度が両立している珍しいシリーズなので(出来は良いが嫌い、出来は悪いが好き、というものの方が多い。出来が良いから好き、というのは「勝っているから好き」みたいなものだろう?)、好きな点・評価している点と、悪い(もったいない)点を挙げてみようと思う。

好きな点・評価している点

1. 本当に全然うまくいかなかったが、一つのOSでPC、タブレット、スマホを全て動かすというアイデアがよかった。OS毎にアプリの設計で対処する方がずっと効率がよい事は最早ほぼ明白だが、なんというか夢があった。

2.ディスプレーの比率を3:2にした点は画期的だった(書類の見やすさといったら!)。

3.キーボードカバーというアイデア(iPadはそのパクりだ)とそのデザイン、特に選べるカラーリングとその品質は、それをBluetooth化するオプションパーツと合わせて、それまでの他者のキーボード付きの製品と比べて圧倒的にスマートだった。しかしオプションパーツの方が正式に発表してCMでもガンガン流しておいて、日本では永遠の近日入荷となり、本国米国でもすぐに発売中止になったのは致命的だった。極めて重要な要素だったのに。

4.pro3以降の無段階ヒンジ。キーボードカバーもそうだが、microsoftは実はかなり優秀なハードウェアメーカーでもある(どちらかというと世界制覇したwindowsOSの方が実はダメダメという)。

5.マグネット部。縦横二つあることでペンとキーボード双方が同時に装備できる。2018年まで明らかにiPadより優れていた。

6.SurafaceBookの連結機構は、フリップスタンドの「実は意外とスペースを要する」という問題を完全にクリアした。マシンパワーも申し分ない。しかし高すぎる。

7. 筐体の完成度故、企業が自社ソフトを動かす機械としては随一であり、今やしっかりと存在感を示している。microsoftはコンシューマー向け製品よりはオフィス関連にやはり一日の長があるということか。

総評:ハードウェア面での完成度と想像力は全盛期のAppleにも匹敵するが、ソフトウェア面の問題で素晴らしいアイデアといくつかのハードも実現できないか、未だできずにいる。

悪い点(もったいない点)

1.ナンバーワン。公式のバッテリー交換プログラムがない(公式以外は賭け)。SurfaceBookを特盛スペックにすれば頑張れば10年戦える。だがバッテリーはどうあがいても無理だ。それなのに。Appleに戻らざるを得なかった最大の要因の一つである。

2.電源管理システムがお粗末。今頃は幾分マシになっているのかも知れないが、スリープは通信、無線、狂気のソフトウェアアップデート、その他あらゆる要因で阻害され、翌日開いた時にはRunOutしている事は日常であった。Windowsという寄せ集めロボットシステムを統御できる日は来るのだろうか。

3.アプリストアのこれ以上ない貧弱さと、それらの不安定さ。結局「統合OS構想」が仇となり、アプリの開発のしようがなかったのだろうと推察する。WindowsPhoneと合わせて残念。NOKIA復活を希望にまた素晴らしい構想を練って欲しい。そしてそれはWindowsとしてではないのかも知れない。

4.OneDrive。今はどうか知らないが、書類を保存する際にネット環境がないと保存はおろか起動すらしてくれなかった。DropboxのようにPCバージョンは本体に保存される仕様にさえなっていればよいのだが。

総評:「統合OS」の構想は失敗に終わり、未だにMacOSとiOSを統合しないAppleの分析は正しかったと証明されたことになった。Windowsの最大の弱点はアプリ間の連携の悪さにあるが、Appleは逆にそれをしない事でうまくやってきている(不便さもある)。

総評の総評
Surface Pro 並びにSurface Bookは企業向けの端末としては最早ほとんど欠点がないと言えるのではないだろうか。バッテリー交換問題も恐らく新製品を大量に卸す関係でうまくやっているのだろう。

結局そういうスタイルがmicrosoftには合っているのだと思うのだけれど、スティーブ・ジョブズのApple退任〜死後に急速に台頭してきた当時のmicrosoft並びにSurfaceのデザイン、理念、アイデア、そしてNOKIAとのタッグの中に、僕はジョブズを彷彿とさせる「ビッグ・ピクチャー」を確かに見たと思う。今はAppleにもGoogleにもそうした「グランドデザイン」はないように思える(もともとWindowsが一番なかったんだけど)。あの「中の人」達が今どこでどんな構想を練っているか、早く知りたい。












2019年7月10日水曜日

iPad Pro問題

iPad Pro (12.9インチ,2017年モデル)を買って以来、コード譜は基本的にこれで見ている。

印刷コスト(インク代、紙代、コピー代)の削減量だけで既にもとが取れているのでは、と感じる程に使いまくりである。

特に清書前のなぐり書きの紙に関しては99%ゼロになったのは大きい。

最近 無印iPadがApple Pencilに対応した事で更に導入コストが下がったので、例えば芝居の台本(スタッフを入れれば大抵の場合10人以上、本番では見ない、改訂が頻繁に行われる)のようなものは2作品もやればコピー代だけでもとは取れてしまうのではないだろうか。

いわんや利便性(保管スペース削減、長期保存、書き込みの容易さ、各バージョンの保存)を加味すればこれはASAPで導入すべきだと思われる(ちなみに書く側の人間であればSurface Proを勧める)。

翻って問題は譜面とペンである。

譜面は楽器を弾きながら読むし、本番でも使う事があるし、またコード譜であれピアノの場合は随所に和音や二段譜も出てくるし、一曲通して弾き続ける場合が多いので、ディスプレーサイズは大型、ピアノの場合できればA3見開きが望ましい(そうすれば全編オタマジャクシの譜面も読める)。

つまりもう一台欲しいのだ。

また、書き込みの頻度や重要性が高いので、第一世代のペンの充電方式はどう好意的に考えようとしても支持できない。いい加減聞き飽きたセリフだが、あの間抜けで危険で嵩張るデザインと方式はジョブズならプレゼンの時点で開発者をクビにする気がする(キャップをなくさずにどうしていれよう)。


第二世代(現行モデル)の方式は当時難しかったとしても、キーボードを取り付ける(即ち電力の供給が可能な)マグネット式コネクタが実装されているのだから、急速充電を犠牲にしてもそちらに対応させるべきだったと思うが、マイクロソフトのSurfaceを意識してキーボードカバーAlwaysな使い方を推した故の犠牲なのかも知れない。

つまりもう一台(第二世代のペンに対応したものが)欲しいのだ。

が、第一の問題は現行モデル(本体)の価格の高さだ。最新のパソコンと比べても遜色のない処理速度はすごいが、PDFの譜面や書類を見て、書き込む用途で言えば完全にオーバースペックである。

第二世代のペンが旧モデルの本体にも対応してくれれば良いだけなのだが、それはそれで難しいのだろう。とはいえペンの為に15万円は出せない。

とはいえ、その現行モデルもあと数ヶ月で発売から一年が経過し、認定整備済み製品も出てくるだろうし、理想は折りたたみ型でA3サイズ前後にまでなるモデルだが、それにはまだ数年は要するだろうし出るアテもない(譜面以外で折りたたみA3の需要があるのだろうか)。つまり今が買い時だ、と思っていた矢先にこの噂が出てきた。

アップル、折りたたみiPad2020年発売か!?

これは看過できない。

できないが、折りたたみディスプレーが今後トレンドになり、Appleも追随を図っている事をほぼ間違いないが、高い期待を背負ったiPhone SE2が幻で終わった以上、確証はない。

ない上にA3サイズを出す予感はもっとない。

ないないない上に第一世代はプロトタイプだと捉えるべきなのでやはりあと2年は待つだろう。

だが2年なら2017年モデルの買い足しで耐えられるかも知れない。

というわけでやっぱり今は買え「ない」のである。
















2019年4月27日土曜日

5月8日HKTmix@中目黒 FJ's

5月8日には久々に自分主催のライブをします。いつぶりだろうか。
ここのとこ色々あって色んな楽しい仕事をさせてもらってはいるのですが、
こういう時こそ自分のアレをアレしておく事が大事なのでは、
などと思った今日この頃です。

Hitomi,Kota,TakumaでHKT mix

ビブラフォンのHitomiHさんは僕とハーモニー感が合いすぎて、
かなり雑な譜面で複雑なボイシングをしてもばっちりサウンドさせてくれるので
(こういうのをきっと「合わせてくれてる」と言うのだろうが)、
今後ともどうぞよろしくお願いしたいところである。

タッキーこと朝田拓馬君はギターに加え、歌やボイパやその他色々できてしまう
変なやつでこの3人でかなり色々なフォーメーションが組めるので楽しみである。


会場は故・深町純さんのお店、FJ'sです。
お時間ある方は是非。

2019年4月11日木曜日

「竜馬におまかせ!」再評価

最も好きなドラマに「竜馬におまかせ!」がある。

1996年の作品だがすごく面白かったし久しぶりにまた見たいなあ、三谷幸喜作品だし、DVD化くらいされているだろう、と思いwikipediaに当たってみたところ、

これが意外や意外、なかなか低評価、というか今でいう炎上作品であった事を知った。

"歴史事実を無視した奇抜な内容から、放映当初より日本テレビはもとより三谷本人にも龍馬ファン、時代劇ファンを中心に抗議が殺到した。特に大の龍馬ファンで知られる武田鉄矢は「維新回天の英霊を愚弄する低俗な内容、本人の墓の前で土下座して謝罪するべき」と三谷本人に内容証明での抗議文を送った(要出典))"

とあり、なるほどわからぬでもない、むしろさもありなん、と思った次第であるが、視聴率が奮わなかったという点だけは本当に意外であった。

僕も司馬遼太郎の「竜馬が行く」の大ファンで、氏の他の幕末ものや、その他の竜馬関連の作品も楽しく見聞している事を前置きした上で、この作品の素晴らしさを述べてみたいと思う。

ちなみにYouTubeに上がっていたので見ながら書いている次第である。

まずキャスティングが白眉である。

・坂本龍馬:浜田雅功(ダウンタウン)
浜田本人のキャラクターが強すぎはするが、上江戸(?)したてで江戸に出てはみたものの特に何をどうしたらよいか定まっていない頃の竜馬の感じや、周囲の攘夷熱にかぶれつつも少し別の視点から周りを見ており、ちゃらんぽらんな素振りで攘夷派に踊らされる友人の心を開き説得する様は、司馬遼太郎の竜馬像と全く矛盾しない。同郷の以蔵への思いやりを示すシーンは特に素晴らしい。もまた、遊郭にも出入りしたりと実際それなりに若者らしくちゃらんぽらんしていた節もある。その辺りはつかこうへいの「龍馬伝」のような雰囲気も感じさせる。とにかく、実際の坂本竜馬像と実はそれほど乖離していないのでは、と捉える事もでき、キャスティング、キャラクター設定として面白く成立している。また、浜田の岩のような横顔も竜馬の写真と意外と似ていなくもないように思える。


・近藤長次郎:北原雅樹(グレートチキンパワーズ)
兄貴分についてきただけの性格のいいヤンキー感が秀逸。

・岡田以蔵:反町隆史
純朴で馬鹿で、武市半平太や清川八郎にいいように操られている足軽青年、岡田以蔵のキャラクターを、他作品と比べても最もよく現しているキャスティング&演技だと思う。竜馬を慕いつつも武市や人斬りの暗さから結局抜け出せなかった史実の悲哀さも感じる事ができる、清川八郎と並び今作品のベストキャスト。

・千葉貞吉:伊東四朗
偉大な兄千葉周作の弟として飄々と生活している感じが秀逸。

・千葉重太郎:別所哲也
「育ちのよさから来る、流されやすくも性格のいい青年」という千葉重太郎像を別所がよく現している。

・千葉さな:緒川たまき
風貌は文献とは異なると思うが、勝気で男勝りな千葉さな像を、愛らしさと共にテレビドラマによくフィットして現している。腸閉塞を患った鈴木杏樹のトラだったらしいが、鈴木では女子感が出過ぎたかも知れない。

・清河八郎:西村雅彦
北辰一刀流の免許皆伝者であり学もある文武の人でありながら、結果的にどうにも胡散臭く、初代新撰組(それも清川が二枚舌で作った)組長のゴロツキ、芹沢鴨と個人的にお似合いだと感じる清川八郎(最終的にロクな死に方をしなかった)。剣豪感はないものの(実物は体格がよく色白で声がよかったらしい)、今でいう自己啓発セミナーを開いたりして田舎者を焚きつける胡散臭い人物像に西村雅彦がベストマッチ。反町隆史の岡田以蔵と素晴らしいコントラストを描いている。

・勝海舟:内藤剛志
出世欲はないが幕府のお偉いさんであり、リベラルで学もあるがいわゆる学者肌でもない、という、役作りに悩みそうな(実際 他作品でキャスティングに首を捻る事が多い)勝海舟像をうまく演じているように思う。野田秀樹と並んでの勝海舟の好キャスティングの一つだと思う。

・近藤勇:阿南健治
不器用で騙されやすいがそれ故か人望が厚い、後の新撰組組長をよく現している。

・沖田総司:梶原善
ギャグ混じりのキャスティングではあるが、病弱で気のよさそうな青年という意味では意外にマッチしている。梶原善のクオリテイは若い時から常に高い。

・黒駒の勝蔵:相島一之
実際には交遊はなかったのでほぼ架空の人物ながら、竜馬手飼いの元盗賊、寝待ノ藤兵衛(こちらも架空らしい)を彷彿とさせる。藤兵衛役として(時系列として成立しないだろうが)捉えると素晴らしいキャスティング&演技。また一緒にライブしたい。

夢路(架空):とよた真帆
完全に架空の人物なのでノーコメント。セクシー。

高杉晋作:寺脇康文
風貌的にはもう少しつり目の体の細いヤンキー感のあるキャストがよかったが、高圧的でエラそーで自信に満ちている感じはよく体現されていた。

吉田松陰:小林隆
実物の風貌的イメージがあまりないが、あの激烈な弟子達を産み出すのは案外こういう感じの人なのでは、と感じさせる。また一緒に仕事したい。

という具合で、歴代竜馬作品の中でも圧倒的にキャスティングが優れている(個人の感想だが)。

浜田雅功の竜馬は不評なのだろうが、福山雅治や武田鉄矢よりはずっと実像に近い気がする。


次に、舞台設定(時代設定)が優れている。いわゆる「幕末」の前日譚という設定だが、実際この幕末のスター達は京に上る前、名もなき若者として江戸にいたのである。

その彼らの、ちょっとあったかも知れない日々や、あってもよかった世界線(@シュタインズゲート)を、このドラマは楽しく美しく描いている。その視点は、キャストが現代の格好でゲームセンターやバスケに興じるオープニングの映像からも感じ取る事ができる。2019年現在であれば容易に理解され、受け入れられただろうと思うと少し惜しいが、それだけ三谷幸喜の視点は進んでいた証左とも言えるだろう。

もう十分書いたが、総じてこのドラマの優れているところは「リアリティ」だと思う。

史実としてのリアルではなく、裸婦像に興奮したり、シークレットブーツを履いて仲間とはしゃいだり、革命だなんだと騒いでいても具体的にそれが何を指すのかはみんなよくわかっていない、といった、若者の生活としてのリアルである。

フィクション、脚色を通じてリアリティを引き出す、というのは創作、ひいては芸術の正しいあり方である。

デジタルリマスターきぼんぬ。

*4.12追記
改めて最後まで見たけど、後半のバンドのくだりで大分ダレてましたね。
台本追いついてなかったんだろうなぁ。






2019年2月15日金曜日

ボヘミアンラプソディの作品的価値

今日からエレモことelement of the momentのアルバムリリース記念3daysライブ@sound M's(那覇)である(長い)。

だが私はボヘミアンラプソディの話をする。

あれがグレートな作品かどうかについては色々な意見がある。

興行的にはない。大成功以外の何物でもない。

では作品としてはどうか。

クイーンの伝記映画として見た場合、それほど高いクオリティではないだろう。

批判的な意見の大部分がフレディ並びにメンバーの内面に触れていない点を挙げており、

またライブエイド前の活動についてはまるで活動休止中のように描かれているが、実際はそんなことはなかったようで、その辺のちょっとしたフィクション~脚色の部分についての批判もある。

翻って、この映画をエンタテイメント作品、もっと言えば

「ライブエイドにおけるクイーンのパフォーマンスを2000%楽しむ為の作品」

という視点で見た場合、これは文句なしにグレートな作品である。

実物と見た目が似ているとは決して言えないラミ・マレック氏の虚ろげな眼差しと、実物よりも随分小さなその体躯は、氏の尋常ならざるフレディへの動きの同化により、実物のフレディの見た目とは裏腹に、情緒不安定で繊細かつ複雑なフレディ・マーキュリーの内面を逆にありありと表象しているように見えた。

しかし同時に、ライブエイドでのクイーンの圧倒的パフォーマンスがクライマックスになければ、その演技が持ち腐れになった可能性は十分にある。

実際は4Dシアターでのクライマックスシーンのテンションのブチ上がり方は3000%であったわけだが、そういう、ストーリーだけで魅力的かどうかは疑問符がつく作品ではまぁあると思う。

視点によって評価は変わって来るだろうが、兎に角も僕が映画館に二回足を運んだ作品はこれが初めてである。

2019年2月4日月曜日

世界は一人

という舞台の稽古中である。

 

なかなかの豪華キャストである。

俳優陣の演技はもちろん、音楽担当の前野健太さんの作曲もさすがというか、

芝居と溶け込むようでいてBGMにはならない、ガーサスな仕事である。

バンドメンバーでCDを持ち合うのも楽しい。

初日まであと約2週間ほど。

稽古も毎日楽しいが本番からの日々はますます楽しいに違いない。


2019年1月8日火曜日

電子書籍に望むこと

Kindleアプリを結果的に愛用している。

PCを含む主要なプラットフォームを網羅しており、Android端末であれば ”購入→ダウンロード→読む”までアプリ内で完結できる。

電子化されていない作品でもアマゾンと組み合わせれば見つからないという事はほぼない。

ちなみにiOS版では購入はブラウザ経由である必要があり、少しだけ億劫になる。

またiBooksは当然ながらiOS以外では使えないし、ストアもKindleに比べると劣る印象だ。

そんな非常に利便性の高いKindleアプリだが、ここまで来るともう一つ欲しいサービスがある。

それは「権利貸し」の機能である。

個人間レンタルとでも言おうか、購入した作品であれば期間を決めて友人など個人に読む権利を一時的に譲る機能を持たせられないものだろうか。

中古という形態がないフォーマットである以上、それがなければ読みたい人は基本的に定価・新品の価格で買うしかないわけだが(セール・キャンペーンなどもあるが、それらは主にメディアミックスが決まった作品だったりで、かなり限定的である印象だ)、これは個人的な感覚としては「ハードカバーで買う」くらいの感覚で、よほど興味があるか好きな作家の新作ででもなければ手を出さないのでは、と思うのである。

その点で電子書籍は「ちょっと気になってる」レベルの機会損失が大きいのではないかと思っている。

ちなみに"KindleUnlimited"という読み放題サービスも試したが、雑誌や話題の新作は対象外である事が多く、あまり意義が感じられなかった。

とにかく、「1購入につき1権利」なのだから、買った当人がそれを貸したり譲渡する権利はあるはずである。

システムはやや複雑になるだろうが、その機能が加われば定価で購入するハードルは少なくとも個人的には随分下がる。

貸す友達がそんなにいるわけではないが。