2013年10月23日水曜日

mvnoのすゝめ(2)

mvnoとはなんぞや、という前に問題/不満を整理すると、

・固定回線を契約しているのに、それと同等〜それ以上の額を携帯電話に支払う

必要がある(基本使用料も別途かかる)。

・高速回線(LTE)など必要ないが、端末が対応している以上、その最も高い

回線のフルプランで契約しなければならない。

逆に、

月々のインターネット使用総量が7GB以下の人には環境はそれほど悪くない

(あくまで回線環境が充実している都市部に限るが)。

という感じである。

更に要約すると、

「安くて遅いプランはないのか」

という事である。

そして正にそれがmvnoなのである。

wikipediaによればmvnoとは

仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、Mobile Virtual Network Operator, MVNO)は、携帯電話PHSなどの物理的な移動体回線網を自社では持たないで、実際に保有する他の事業者から借りて(再販を受けて)、自社ブランドで通信サービスを行う事業者のこと。対義語として、自社網をMVNO事業者に提供する側を、移動体通信事業者 (MNO)と呼ぶ。
なお、総務省による定義では、
  1. MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、
  2. 当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者
とする[1]

とある。

ざっくり言えば、大手キャリアの回線(ほぼNTTの意)を間借りして、

独自のプランを提供する会社である。

NTTやKDDIと違い、彼らの回線を使わせてもらうだけなので設備投資はかからず、

よって提供会社は年々増加している(amazonやビックカメラも参入した)。

プランは大体128kbps〜200kbpsという低速で480円〜980円、

通信制限はなし〜数百メガバイト/日、といった辺りを基本に、

プラス1000円で1GBまで3GやLTEが使える、といったオプションを

組み合わせる感じである。

端末は自分で用意し、業者からはsimカードが提供される。

simカードは端末(携帯電話・タブレットなど)の利用者情報を管理する小型の

チップで、ほとんどの携帯電話はこのカードで使用の認証を行う。

普通は携帯電話を契約する際にキャリアから提供され、端末に挿入される。

バッテリー裏に設置されている事が多く、抜き差しは比較的容易である。

これを抜くと電話を含めた通信ができなくなる。

mvnoの場合、電話が利用できるタイプ(050ナンバーになる)のsimもあるが、

データ通信専用のものが主である。

通信は3G形式で、日本ではdocomo回線のもののみと言ってよい

(au(CDMA方式)の参入も期待している)。

Docomoのスマートフォンであれば基本的にsimカードを差し替えれば

そのまま使える。au端末は通信方式が違うので絶対無理。

softbankはdocomoと同じ3G方式の通信規格だが、使えない。

日本ではキャリア側がsimの認証にロックをかけている為である。

原理的には3G通信方式のsoftbank iPhoneにdocomoのsimを入れれば

使用可能になるはずだが、このロックのせいでできない。

海外ではこのロックがかかっていない製品(simロックフリー端末)も

多く、特に出稼ぎ労働者が多い国で多く見かける。

iPhoneも香港で買えばロックをかかっていない状態で買えるが、

docomoやsoftbankのsimを刺し、再び抜いた時にまたロックフリーの状態に

戻るのかは不明。

昨年google社謹製のsimフリータブレット「Nexus7 3G」が日本で

発売された事をきっかけに、僕は大手キャリアのバカ高い通信費と

2年縛りから脱却する作戦を開始した。

現在はガラケー(2700円/月)と、Nexus7(980円200kbps/月の低速sim)、

固定光回線(4300円/月)、というプランである。

(1)で概算した10600円+@より2600円以上は安くなっている計算になる。

固定光回線がマンションタイプで契約できていれば更に-1000円、

ガラケーを本当に通話のみにすればもう-1000円で済ませられるのだが、

メールはガラケーでの操作性が圧倒的に良く、実現できていない。


また、料金面以外でのメリットとしては、

・ガラケーのバッテリーが2、3日は余裕で保つ(スマホは半日)。
・タブレットは筐体が大きい分 小型スマホよりもバッテリーを多く詰める=保つ。
・電子書籍、特に漫画を単行本と同じようなサイズで読める。
・モバイルルータ(ポケットwifiとか)にsimカードを刺し変えればテザリングも可能に。
・最新のタブレットの中にはテザリング機能がデフォルトで追加されているものも。
・2年縛りがない
・どちらかが壊れてもとりあえず大丈夫(通信手段はある)。
・通信制限なし

などがある。

デメリットは

・持ち物が増える(ガラケー+タブレット+ルータ=iPhone一台)
・タブレットが時々大きく邪魔に感じる。
・通信が遅いが、上げると料金の差がなくなって来る


個人的には2年縛りを考えなくて良い点が一番のメリットかも知れない。

日本の携帯電話事業は本当にアンフェアだと思う。

あとはmvnoがもっと普及して来年中に1GBまで980円、くらいになると良いと思うし、

その可能性は低くはないだろうとも思っている。

また、mvnoに押された大手キャリア組が2GBまで1980〜2480円くらいの

ライトプランを提供を余儀なくされたりもするだろうし。

とか言ってある日ちゃっかりiPhoneにしちゃってそうな自分も想像できちゃったりして。




mvnoのすゝめ(1)

最近はスマートフォンによるテザリング(ネット基地局機能)が

スタンダードになりつつある。

この機能があれば、外出先でPCや携帯ゲーム機など、スマートフォン(スマホ)

以外の端末でもインターネットが利用可能になるし、

通信量がそれ程多くない人は自宅のネット環境も賄えるという、

中々に便利なシロモノである。

但し、際限なく使われては電話会社も色々困るので(回線がパンクしたり、

サーバーなど膨大な量の通信をされたり)、通信量には制限がある(7GB)。

この7GBという設定は絶妙で、僕が以前テザリングでネット環境を全て賄っていた時

(auのhtc evo の内蔵Wimaxによるテザリング・通信制限なし)では、

大体毎月8GBから多いときで12GB程度の通信量であった。

僕は仕事の関係上 音楽ファイルのやり取りやYou Tubeの閲覧などは

割と多い方で、アニメを見るのも好きだし、また検索魔でもあるので

こういうネット利用度(依存度?)が高い人間が丁度引っかかるあたりが

この7GBラインなのである。

メールやSNS、You Tubeも含めたニュースサイトの閲覧、書類の閲覧、

といった利用で7GBに達する事は、大手キャリアのアナウンス通り、

まずないと言ってよいと思う。

つまりインターネット利用の多い人間(僕)はちゃんと固定回線も

契約して下さいね、と言われているのである。

さてそうすると通話料を含めた月々の通信費はいくらになるだろうか。

固定回線は中速(8MB〜12MB程度)のADSL回線で、電話回線利用料含め

大体3000円台半ば〜4000円、光回線は+1000円といった所だろうか。

電話の方は通話料(=基本使用料・780〜2000円がボリュームゾーン)の他に、

メールをするならばデータ(パケット)使用のプランに加入する事になり、

そこには大体ライトプラン(規定の通信量まで定額)と、

フルプラン(使い放題)のようなものがあるのだけれど、

本当にメールをするだけの人以外は事実上フルプラン以外の選択肢はない。

外でインターネットはしない、という人でも乗り換え案内やクーポンの

閲覧・ダウンロードくらいは今日びするだろう。

スマホならば放っておいてもシステムやアプリケーションの更新が自動で行われるので

何もしなくてもライトプランの規定通信量をオーバーする仕様になっている。

実際、iPhoneを電源を入れた状態では指一本触れなくてもライトプランの

規定値をオーバーし、膨大な請求が来る事でsoftbank社が問題になった。

これが問題その1、「大手キャリアによるデータ通信プランは事実上一択」である。

問題その2はそのフルプランの値段であるが、ガラケー(所謂携帯電話)や、

最新の通信規格(4G・LTE)に対応していない端末で4400〜5500円程度。

LTE対応では6000円程度である(尚softbank社はもう少し安いが、

これから整備する「予定」を現状に勘案しているので、非対応扱いとする)。

というわけで固定回線+携帯電話の使用料の合計は上記の平均で

固定回線4000円+通話料1400円+データ通信料5200円=10600円である。

実際にはメール利用基本料(315円程度)や保険(525円程度)、

「後で解除できるがとりあえず強制加入」のサービス(315円x複数)、

分割機種代金(0〜2000円程度)と、多ければ数千円が上乗せされる。

これはランニングコストとしてはちょっと高過ぎる。

地方都市近郊ならば駐車場が借りれる額である。

特に制限付きのデータ通信料がやたらと高い。

会社務めで自宅に固定回線がある人間ならば、スマホでも2GBはおろか1GBに

達するかも疑わしい、「ライトユーザー」のカテゴリの人達でも、

フルプランの料金を払わなければならないのである。

何故かと言えばライトプランの規定値が数十〜数百メガという

10年前の設定のままだからである。

かといってミドル〜ヘビーユーザーがテザリングで固定回線分を賄うには

7GBでは足りないのである。

おまけにこの料金プランはどのキャリアでも大差なく、事実上 談合が

行われている。これが問題3である。

「こんなのは間違っている!」と強く思うのである。

そりゃみんなCDも買わなくなるよ、とも思う。

そんな僕が光明を見いだしたのが黒船、「simロックフリー端末」と

「mvno(仮想移動体通信事業者)」である。



(2)に続く。